ディベートって要は口喧嘩でしょ?
違います。全国教室ディベート連盟のYouTube チャンネル ( https://www.youtube.com/channel/UCFp3jIdTkbvPCc0BBpSn4NQ )を観てみると、「この人達口喧嘩強そう。」と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに試合中はヒートアップしていることもあり、優しい口調とは言い難いことも多いです。ディベートでは勢いではなく、単なる文字に書き起こしたときでも説得力があるスピーチか否かで判断されます。むしろ度を超えた威圧的なスピーチ、相手を馬鹿にするような態度ではマナー点、コミュニケーション点を減点されることもあります。
では、ディベートと口喧嘩は何が違うのでしょうか。「広辞苑第七版 岩波書店2018」によると、ディベートは「あるテーマについて肯定側と否定側とに分かれて行う討論。ジャッジが勝ち負けを宣する場合もある。」と、口喧嘩は「言い争うこと。口論」と書かれています。要するに、ディベートは論理的に第三者を説得しなければなりませんが、口喧嘩はその相手を言い負かすだけでよく、強い口調をもってして相手を怯えさせてもよいわけです。対して、ディベートの試合でスピーチする選手(以下ディベーターといいます)は、感情論ではなく、論理的な話の筋道(ロジックということもあります) の上に実例などを用いてジャッジを説得しようと努力しています。
このように言ってもピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は次のような状況を想像してみてください。学校の廊下でボス的な存在の生徒、あるいは煽り運転をしてきた人に「お前生意気なんだよ。」と言われたとします。そうしたとき、ふつうの人なら委縮して黙ってしまうかもしれません。それはディベーターも同じです。(少なくとも筆者はそうです。)しかしディベートの試合中は違います。仮に試合中に「お前生意気なんだよ。」と言われても、(そんなことを言われることはまずありませんが)多くのディベーターは「私のどういった点が生意気だと感じさせ、また生意気と感じることがどう深刻なのか、プロセスが不明です。」等と言うと思います。これがディベートと口喧嘩の違いです。ディベートでは相手を言い負かすことも目的とはしておらず、あくまでジャッジという第三者に対して主張を展開しています。だからこそどのような相手であっても委縮せずにスピーチが出来るのです。したがってディベートと口喧嘩は同じではありません。